『特捜戦隊デカレンジャー』の頼れるボス、ドギー・クルーガー/デカマスター役として知られる稲田徹さんのスペシャルインタビュー!
テレビ放送開始から20周年を迎えた『特捜戦隊デカレンジャー』、ドギー・クルーガーへの熱い想い、そして現在プレミアムバンダイにて絶賛予約受付中変身アイテム「マスターライセンス -MEMORIAL EDITION-」についてお聞きしました。
新作Vシネクスト『特捜戦隊デカレンジャー20th ファイヤーボール・ブースター』が公開され、あらためて盛り上がりを見せるデカレンジャー。稲田さんならではの今後の構想についても語ってもらいました。
――今年2024年は『特捜戦隊デカレンジャー』20周年として新作公開やアニバーサリーステージなどすごく盛り上がっていますよね。
稲田:アニバーサリーステージではシークレットゲストとして登壇したのですが、第一声で声が震えてしまったんですよ。デカレンジャー6人がそろっているだけで、もう泣けてしまう。会場のファンの皆さんと気持ちは一緒なんです。デカレンジャーが大好きなので、6人が制服姿でそろっているだけで嬉しい。
――ステージでは稲田さん=ドギー・クルーガーによる出動コールもありました。
稲田:本来は「デカレンジャー、出動!」だけでよかったのですが、みんなの顔を見ながらひとりひとりの名前を呼びました。もうヤバかったですね。TVシリーズのラストでも、みんなの名前を呼びましたが、それ以来ですから。TVシリーズの1年間、キャラクターの名前を呼び慣れるように、収録以外でもキャストたちを役名で呼んでいたんですよ。TVシリーズが終了したことで、役名で呼ぶことをやめましたが、自分の中でちょっと寂しい気持ちがあって。でも、今回の20周年ではあらためてみんなを役名で呼んでいました。みんなと一緒にいると、自然とボスのスイッチが入りますね。
――20周年に至るまでも、続編やスピンオフもありました。
稲田: 『特捜戦隊デカレンジャー 10 YEARS AFTER』も評判がよくて、その後の新作企画が立ち上がったようです。実は10周年の際、のちの『10 YEARS AFTER』のプロットとして、ギャバン(『宇宙刑事ギャバン』)とのコラボみたいな話を私から提案していて。その時は却下されたのですが、あながち無駄じゃなかったかなと思っています。まぁ、シンプルな動機付けとしては、キャスト、スタッフ含めて、「また一緒に仕事がしたい」と思えるやつらなんだと思います。デカレンジャーのみんなはプロデューサーの塚田英明さんと一緒にいると楽しそうですしね。もちろん私もみんなと一緒に仕事がしたいですから。もっとも、もう仕事として捉えていない部分があって、また一緒に楽しい時間を過ごしたい気持ちが強いです。
――デカレンジャーのメンバーとの関係についてはいかがですか?
稲田:スーパー戦隊として、デカレンジャーとして、6人のメンバーはもう変えようがないんですよね。作品が生まれたときから、もう家族みたいな。例え会わない時期、疎遠になった時期があったとしても、20年目に集まって、みんなが笑顔でいられたことはとても幸せなことだと思います。
―――それこそファン含めて、ですよね。
稲田:『特捜戦隊デカレンジャー20th ファイヤーボール・ブースター』の舞台挨拶でも感じたのですが、皆さんの「待ってました」感がすごいんですよ。それこそ親戚にひさびさに会って「元気だった?」みたいな。イベントのハイタッチや撮影タイムでも、皆さんマナーがよくて、それこそファンの皆さんが我々演者をバックアップしてくれる。本当に優しい。20年の歳月は、演者はもちろん、ファンも熟成させるんだなと思いました。放送当時から今までずっとイベントに来てくれるファンもけっこういて、人によっては顔、名前まで覚えていています。本当に気持ちのいい人たちで、もう何だったら自分の連絡先を教えてもいいくらいに信頼しています(笑)。いろんな作品にファンがいらっしゃいますけど、デカレンジャーのファンは温かい人が多いですね。
――プレミアムバンダイで受注中の「マスターライセンス -MEMORIAL EDITION-」についてお聞かせください。
稲田:TVシリーズだけでなく、『特捜戦隊デカレンジャー 10 YEARS AFTER』『スペース・スクワッド ギャバンVSデカレンジャー』『特捜戦隊デカレンジャーVSアバレンジャー』『魔法戦隊マジレンジャーVSデカレンジャー』、あと『ガールズ・イン・トラブル スペース・スクワッド EPISODE ZERO』からのセリフなど、とてもよいチョイスだと思います。実は私自身から提案したセリフも収録してもらっています。
――新録セリフについてはいかがですか?
稲田:自分としての理想のドギー・クルーガーに近づいてきたと思っています。声質はもちろん、心情的にもですね。20年前は背伸びして大人のキャラクターを演じている部分があったのですが、今になってようやく演じるにふさわしい感じになってきた。落ち着きも出てきたかなと思えるんです。だからこそかつてのセリフもあらためて録り直してみたくなるんですよね。同じセリフでも、当時、10周年、20周年で、ニュアンスも変わってくる。その時にしか出せないドギー・クルーガーにこだわって、20周年ならではの“MEMORIAL EDITION”に挑みました。
――ボスの変身回であり、活躍回である第13話「ハイヌーン・ドッグファイト」のセリフも多数収録されていますよね。
稲田:デカマスターにとって一番の見せ場となるエピソードなのは間違いないですからね。「エマージェンシー、デカマスター!!!」から「百鬼夜行をぶった斬る! 地獄の番犬! デカマスター」までの決めゼリフ、さらに100人斬りの再現までドギー・クルーガーの代名詞みたいなものです。
――収録音声のなかで、特に思い入れの強いセリフはありますか?
稲田:TVシリーズ最終話での「俺はお前たちを誇りに思う」は、重みがありますよね。おそらく口に出さなくても、いつもボスが思っていることです。第13話も最終話も竹本昇監督の担当エピソード。まさにスーパー戦隊シリーズを撮らせたら日本一の監督、私では足元に及ばないくらいマニアックな視点や愛情のある監督です。デカレンジャーにおいて竹本監督の担当エピソードはすべて重みがあります。最終話でボスがデカレンジャーを抱きしめるシーンは、まさに竹本監督の現場での演出。ボスがバンを抱きしめるように指示があったとき、台本にないシーンだったため、ウメ子は「ズルい!」って言ったらしくて(笑)。でも、「大丈夫だよ、全員行くから」って、ひとりひとり抱きしめるシーンになっているんです。
――とても最終話にふさわしい感動的なシーンですよね。
稲田:映像を観てもらうとわかるんですけど、みんなリアルに泣いてるんですよね。なかでもテツが一番号泣していて。それこそ表情が変わるくらい。でも、テツはメンバーとしては途中参加で、一番付き合いが浅いはずなんですよね(笑)。私のなかでは両親をアリエナイザーに殺されたテツが、幼い頃、父親に抱きしめられた思い出をボスに重ねたためと、勝手に解釈して正当化してあげていますけど……。でも、言ってしまえば、テツ役である吉田友一の人の良さだと思います。本当に愛すべき男なんですよ。
――今回の“MEMORIAL EDITION”ならではの魅力はどこにあると思いますか?
稲田:今までの作品からまんべんなくセリフをピックアップしていて、すべて印象的なセリフを収録しています。言ってみれば、ベスト版……うまいこと言ったな(笑)。これはドギー・クルーガーとデカマスターのベスト版です! ドギー・クルーガー/デカマスターがこの20年間、いろんな作品に登場した集大成、その想いがすべて込められています。
――マスターライセンスは過去商品もありましたよね。
稲田:放送当時のSPライセンスの玩具もとても出来が良くて、今も大切にしています。ただ、SPライセンスはボスのセリフがなくて、部下たちのセリフに返事をしていました(笑)。私にしかできない究極の遊びですね。それに10周年にリリースされた戦隊職人版の「マスターライセンス」は〇×のジャッジメントタイムのギミックに驚かされました。でも、20年間の進化はすごいですよね。最新版となる“MEMORIAL EDITION”ではジャッジメントタイムの〇か×かの判定がランダムではなく、自分で選べるようになった。よくできていますよ。
――“MEMORIAL EDITION”としてのアップデートも見どころですね。
稲田:それこそ「戦隊職人 マスターライセンス」を持っている方はぜひ同じセリフでも違いがあるのか確かめてもらいたいです。きっとスピーカーの性能もよくなっているでしょうし、ファンの皆さんの心境も10周年と20周年では違うはず。仮に同じでも、違うように聞こえるかもしれません。それはきっとファンの皆さんが成長した証でしょう(笑)。手に取ってくれるファン、商品を開発しているスタッフ、そして私も含めて、年月を重ねているだけに、こもっている想いもありますからね。
――20周年の次は30周年ですね。
稲田:いや、次は30周年だと思っていないんですよ。2024年は20周年ですが、来年は20 YEARS AFTER。『特捜戦隊デカレンジャー 10 YEARS AFTER』は10thではなく、YEARS AFTERですし、TVシリーズの最終話から数えれば2025年が20年目になります。作品としても新作が期待できますし、今年から来年に掛けてはデカレンジャーの世界観を広げるための1年間だと考えています。先日、ラジオ番組「仮面ラジレンジャー」で、塚田プロデューサーにボイスドラマの企画を直談判しました。例えば、ドギー・クルーガーの若い頃の話を作るにしても、特撮で実現するのは大変です。ボイスドラマなら特撮1本を撮影するよりも、現実的ですからね。個人的には20 YEARS AFTERではメンバー全員のデカマスターモードが見たい! キャッチ―なワードを今、言いましたよ(笑)。全員のデカマスターモード!
――ボイスドラマのシナリオができれば、アニメ化の可能性も広がりますよね。
稲田:実際、特撮をアニメ化したいと思っているアニメーターさんもいらっしゃいます。それこそアニメ化は『仮面ライダーW』からの『風都探偵』もありますし、これも塚田プロデューサーですからね。ちょっと思いついてしまったのですが、デカレンジャーのキャラクターが『風都探偵』とのクロスオーバーで登場しても面白い! デカレンジャーには、スーパー戦隊シリーズから独立して、デカレンジャーワールドのような単独ジャンルとして確立できるくらいのポテンシャルがあると思っています。
――20周年はこのあとも期待できそうですね。
稲田:自分のなかではひとつも終わっていないです。先日のアニバーサリーステージでの“20年間ありがとう感”により、皆さんのなかでひと段落したところもあったと思うのですが、「まだまだ続くよ」と言いたいです。
――稲田さんにとってのドギー・クルーガーの魅力についてお聞かせください。
稲田:シンプルにかっこいいですよね。大人な男だし、仕事もできる。厳しいだけでなく、部下からも突っ込まれたりもするし、イジられたりもするけど、そういうところでは怒らない。友達のように付き合ってくれる。上司として彼らのことを見守っているし、愛している。
――ご自身と重なるところはありますか?
稲田:現実の自分はあんなかっこいい男じゃないし、あんなに強くもないですが、でも気持ちの上では20年間疑似体験させてもらっています。もうひとつの自分の人生であり、理想の人生。あんな大人として生きてみたかった。本当に新鮮すぎる感覚なんですけど、先日、イベントでのサプライズとしてボスが私に花束を渡してくれたんです。自分であるはずのドギー・クルーガーが目の前に現れて。その時点でちょっと泣けちゃって。「あなたを輝かせるために20年間頑張ってきました」とボスへの感謝の言葉が自然に出ていました。自分が演じて心血を注いだキャラクターが目の前に現れて、しかも花束をくれる経験なんてありえないですよ。泣くでしょ? 今なおみんなから愛されて、それこそ新たなマスターライセンスを商品化してもらえるようなキャラクターを演じさせてもらったからこそ、声優をこの20年間続けられたと考えています。
―――まさに“MEMORIAL EDITION”はドギー・クルーガーがファンに愛されているからこその商品化ですよね。
稲田:マスターライセンスを手に取ると、ボスの気持ちにちょっと近づける気がしています。パカっと開くだけでも、いつも通信などでボスがやっていたことだと思える。おそらくボスは長年マスターライセンスを手にしているだけに、思い出がすべて詰まっている。子供の頃に玩具で“ごっこ遊び”をやっていたファンの皆さんも、“MEMORIAL EDITION”のマスターライセンスで大人の“ごっこ遊び”ができますよ。チェンジモードやジャッジメントモードは“ごっこ遊び”としての使い勝手はいいですけど、やはり究極は歴代のセリフを収録したPHONEモード。マスターライセンスひとつでいろんなボスの心境になれます。
―――最後にファンの皆様にメッセージをお願いします。
稲田:キャラクターだけでなく、デカレンジャーの世界観を応援してくれているファンの皆さんは私の誇りです。当時のアイテム、他のデカグッズも含めて、今も持っていてくれることは大変嬉しいことですし、買ってくれたこともありがたいです。いつも自分で購入しているだけに、その重みもわかっているつもりです。だからこそグッズを手にしているファンの皆さんへの恩は常に感じています。今回の“MEMORIAL EDITION”を手にしたファンにも、より優しくしたくなる(笑)。そういう意味でもライセンスですね。
稲田徹さんが登場する「教えて!プレバン宣伝隊」はこちらをチェック!▼
稲田徹
■プロフィール
青二プロダクション所属。ドギー・クルーガー/デカマスター以外にも怪人や幹部として多くのスーパー戦隊シリーズに参加。特撮作品としては仮面ライダー1号、ウルトラマンコスモスなどの声も担当している。またアニメでは『僕のヒーローアカデミア』(エンデヴァー役)、『ドラゴンボール改』(ナッパ役)、『∀ガンダム』(ハリー・オード役)、『勇気爆発バーンブレイバーン』(クピリダス役)など数々の人気作に出演。
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