

『仮面ライダーアギト』が20周年ということは、僕自身も俳優デビューから20年。今年は『アギト』ファンのみなさんのために何かできたらいいな、と思っていましたら、年明け早々さっそくこのような機会に恵まれ、ほんとうに嬉しい気持ちでいっぱいです。大人向け変身ベルト=CSMの存在は知っていましたが、どうして『アギト』は商品化されていないんだろうと、ずっと待っていたんです。音声収録のお話をいただいたとき、まず「やっとか!」という声が出ましたね(笑)。
放送当時に頂いたDX変身ベルトを今日持ってきたのですが、こうやって見比べてみるとCSMはさすが大人向けというか、大きさ・質感が当時撮影で使っていたベルトと変わらない印象です。これなら大人のファンの方たちに十分満足していただけると思います。


以前のDX版にはなかった機能ですし、これによっていっそう“なりきり”度が高まりますよね。やっぱり、20年という歳月があったからこそ、技術的に進歩したギミックが加わったんだなあって。長い期間温めていただいた分、こういったものがプラスされているのはありがたいです。
あの登場の仕方は放送当時から「カッコいいね」と話題になりました。『仮面ライダージオウ』(2018年)第31、32話の「アギト編」でも、杉原輝昭監督が「アギト初登場シーンを再現したい」と、オマージュ的な画を撮りましたし……。当時の撮影ではベルトにケーブルを繋いで光を持ってきていたんですよ。それがベルトの中に最初からあるのは凄いですね。ぜひ暗いところで光らせて、アギトのように悠々と歩いてきてもらえればいいですね。


コツですか? いやあ、考えたこともなかったな(笑)。変身!ってあまり日常生活で叫ばない言葉ですし、言い慣れないもんですよね。メールの「返信」だったら言うかもしれませんけどね(笑)。僕からのアドバイスは「へんしんっ!」と一文字ずつ、滑舌を良くしてしっかりと発音してほしい、ってところでしょうか。さらりと変身!って流して言わないほうがいいと思いますね。

アギトの変身ポーズ(第15話以降)は手を刀に見立てて“居合”のような動作をするのが特徴です。最初は腰に手を添えて、構えてからググッと前方に出し、最後はベルトの両サイドにタッチするのですが、そのとき「静」と「動」のメリハリをしっかりつけることが大事なんですね。手を前に伸ばすときはゆっくりと、焦らずじっくり間を取ってもらえれば、それっぽくなるんじゃないでしょうか。
当時からずっと心に残っているセリフがあるんです。それは劇場版『PROJECT G4』での「生きるってのは、おいしいってことじゃないですか」「キャベツを食べても、大根を食べてもおいしいんです。もしかしたら、何も食べなくてもおいしいんです。死を背負ったりしたら、まずくなります」。この言葉に、翔一という人物が凝縮されているような気がするんです。
言葉の響きとして好きなのは、氷川(誠/仮面ライダーG3、G3-X)さんとのやりとりで言っていた「やだな~」とか「甘いな~」、「男らしくないな~」みたいなセリフです。生真面目で不器用な氷川さんをからかうっていうか、煽っているんですね。氷川と翔一の掛け合い全般が好きです。
あとはテレビスペシャル『新たなる変身』の「俺、忘れてました。先生の病院で、窓から青空を見たときのこと。ああ、生きてるっていいなって思ったこと。俺、もう一度イチからやってみます」というセリフにも愛着がありますね。“生きる”ことに対する、翔一らしい考え方。空を見ただけで、そこまで考えるのか……。津上翔一という人間を表すための、すごくわかりやすい言葉でした。
全体的に、翔一のポジティブな考えに心惹かれますね。みなさんが落ち込まれたり、悩んだりしたとき、ぜひアギトを振り返って、翔一の言葉を聞いて頂いて、元気を取り戻してほしいと思っています。

『仮面ライダーアギト』を20年間、忘れずに愛し続けてくださって、もう感謝の言葉しかありません。みなさんの強い想いは、僕や『仮面ライダーアギト』に携わったすべての人々に伝わってきています。平成から令和へと、仮面ライダーがずっと続いているのもファンのみなさんのおかげです。これからは、仮面ライダーをずっと愛してくださる方たちのために、何か恩返しが出来ればいいなと思っています。「CSMオルタリング」が発売されたら、購入してくれた人みんなで集まって、全員で一斉に変身ポーズを取るみたいなイベントができたら最高ですね。あいにく今は非常に厳しい状況になっていますが、またきっとみんなで集まることのできる日が来ると信じています。その日が来たら、みんなでアギトになりましょう! 俺のために……、アギトのために……、人間のために!
© 石森プロ・東映