これまでにもV3変身ベルトの商品が出たと思いますが、ここまで「本物」の雰囲気に近づけたものはなかったのではないかと思います。ベルト部分や、V3ホッパーのホルダーに「本革」が使われているのも驚きですし、ダブルタイフーンの中にさまざまな「音声ギミック」が仕込まれているというのも、すごいと思いました。
テレビだと、通常とは別にベルトを準備して「逆ダブルタイフーン」を撮っていたと思います。この商品だと、通常回転と逆回転がひとつで出来てしまうんですね。当時よりも優れているわけですね(笑)。
V3・風見志郎が大好きなみなさんは、もう変身の形はご存じだと思いますから、こういう動きですよとご説明はいたしません。呼吸を一度整えて、腕を構えるのですが、宮内はそこで身体をひねり、ナナメに構えるんです。そこで「ムンッ!」と気合いを入れ、ゆっくり腕を回していく、宮内にとって変身は重要な見せ場ですので、ここでの力の「溜め」を大事にしています。
風見志郎の変身ポーズは、大野剣友会の殺陣師・高橋一俊さんに教わりました。高橋さんいわく、変身とは横綱力士の「土俵入り」のようなものなんだそうです。みんなが自分に注目する中、堂々と手を広げ、見得を切る。まあ、僕は心の中で「俺だ俺だ俺だ!」と思いっきり自己主張していますけどね(笑)。デストロンの怪人に向かって、闘志をみなぎらせて「行くぞ!」という気迫が感じられれば、それが風見志郎の「変身」になるんです。
最初のころは「変身、ブイスリー!」とふつうに叫んでいたのですが、音響効果でエコーがかかるんですね。一度、敵にやられてやられて、「ブイスリー」と言えないくらい疲弊したというイメージで、「変身、ブイスリャアア!」と叫んだら、エコーがきれいに響くなと気づいたんです。これはいいと思って、次は意識的に語尾が「ア」に近くなるよう発音してみました。回を重ねるごとに「溜め」を長くしていき、最後のほうは「ムンッ! へんっ……しん、ブイスリィィァァァア!」という風になりました。今回の商品では、そういう部分に注意して、よく聴いてもらいたいですね。
テレビを観ている子どもたちが、「風見志郎、早く変身しないと怪人にやられちゃうよ……」とハラハラしてもらうため、なかなか変身せず戦っていました。さんざんやられて、傷だらけになって、もうダメだ! というところまで来て初めて、ドーン! と「変身」するから、仮面ライダーV3の力強さが際立つわけです。でも、正直言って、変身ベルトを着けるのはイヤでしたね。なぜなら、V3になってしまうと僕の出番がなくなりますから(笑)。なるべく変身前のアクションを思いっきりやりたいと思って、台本ではすぐV3に変身するところでも、できるだけ風見志郎として戦っていくことを心がけていました。
750CCのオートバイは重くて安定感があるので、乗っているうちに「これ、実際に走らせながら立ち上がって変身できるな」と思い、提案したんです。ちゃんと本人だとわかるよう顔をしっかり映してもらい、車輪もちゃんと回っているのがわかるようカメラを引いて、そこでスッと立ち上がって変身ポーズを取りました。最初はポーズを決めたあとすぐV3に変身していましたけど、第39話あたりになると、「トオッ!」とジャンプするカットにつなぐため、両手を上に上げる動きまでやってますね。まあ、あそこまで使ってもらって、その直後「おっとっと!」ってすぐハンドルをつかみますけど(笑)。
全部です! 久しぶりに風見志郎としてセリフを収録しましたが、自分としては50年前と変わらない声が出せたと思います。もしかしたら、あのころよりもいい声が出ているんじゃないかな(笑)。
僕は今でも、仮面ライダーV3やアオレンジャー、快傑ズバットなどヒーローを愛してくださる全国各地のファンの方々と交流しています。風見志郎をイメージした紺のシャツ、白ベスト、白ジーンズという格好で行くのですが、今度はこのベルトを身に着けて出てみたいな、と思っています!
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