最初、本当に撮影で僕が着けていたベルトなんじゃないか?と思ったんですよ。実際の小道具も独特の金属質な感じや、味わい深い「汚し」塗装が入っていましたからね。今回の商品では、職人の方がひとつひとつ手作業で塗装されていると伺いました。だからこそのリアリティなんだなと感心しつつ、驚くばかりです。
自動変形する様子を初めて見たときは、それはもう感動しましたね! 衣装合わせをした際、南光太郎はこんなベルトですと言われて見せてもらったのが、まだ色のついていない、変形機能だけ備わったベルトだったんです。センサーに手をかざすと、音を立てながら変形していく。素晴らしかったですね。撮影では、それほど何度もベルトを着ける機会がなかったので、この商品を手に取るファンの方たちが逆にうらやましいです。
全話の中で何回か「変身」しているのですが、すべて状況が異なっていて、動作音、音楽も毎回違います。商品にはそれらの様々な変身バリエーションが入っていると伺いました。僕の「変身!」というかけ声も入っているんですね。みなさんの声で「変身!」と言って頂きたいですけれど、たまには僕の声も流してください(笑)。
今回の出演依頼を受けたとき、南光太郎を演じるにあたって僕が唯一出した条件が「変身ポーズはぜひやらせてほしい」でした。最初に「変身ポーズはありますか?」とプロデューサーに聞きましたから(笑)。そして、南光太郎の感情の高まりが最高潮になったとき、変身したいと願っていました。やがて、頂いた台本を読むとまったくその通りになっていて、光太郎の悲しみと怒りが頂点に達したシチュエーションが大事にされていました。ずっと戦わなかった男が、ついに本気で戦うという「瞬間」を大切にして、気持ちを込めて変身しました。
オリジナル『仮面ライダーBLACK』の南光太郎を演じられた倉田てつをさんの変身ポーズがものすごくカッコいいので、そこはきちんと踏襲した形でやろう、というのが僕を含め、現場スタッフ全員の一致した意見でした。オリジナルの変身ポーズを出来る限り意識して、忠実に再現しようと意識して臨みました。
まさに「許さん」というセリフこそ、怒りや悲しみの感情が激しく爆発する瞬間の感情を示していますから、僕自身もすごく気合いを入れました。
変身ベルトがすごく欲しかったけれど、買ってもらえなかったんですね。特に、『仮面ライダーV3』(1973年)のベルト「ダブルタイフーン」は、欲しくて欲しくてしょうがなかった。だから、僕にとって変身ベルトは「欲しいけれど、手に入らないもの」という思い出なんです。現在は仮面ライダーの変身ベルトがたくさん発売されていて、ウチにもいくつか買ってあります(笑)。
今回の仮面ライダーBLACK SUN、そして中村倫也くんの仮面ライダーSHADOWMOONは、今まで僕らがイメージしていた仮面ライダーとは違う生物的なスタイルで、画期的なものになっているなと思っています。これまでの仮面ライダーの50年を大事にしつつ、次の形、新しい形というものが提示されているなと、個人的に思っています。藤原カクセイさんが造型を行う際、スタッフたちといろいろな議論があったらしく、現場でもこだわりを聞いています。細かいところまでご覧になって、楽しんでいただきたいです。
『仮面ライダーBLACK SUN』は、僕たちキャストとスタッフがすべてのシーンに力を込めて作った作品ですが、特に「変身」シーンは僕自身もスタッフの方々も大切にしていて、さまざまなアイデアを練り上げて撮りました。僕たちの熱い思いがベルトを通じてみなさんに伝わってくれたら嬉しいですし、一緒に「変身」の迫力を体感していただければと思います!
衝撃を受けています。
『仮面ライダーBLACK
SUN』全10話の中で、変身シーンはそれほど多くないのですが、シーンによって感情が変わり、形態も少しずつ変わっているんです。その様々な音声が網羅されていて、しかも解除音などまでついている。そんなに全部盛り込まれているの?と、びっくりしました。
自動変形の動きにも、再現度の高さやこだわりを感じて、「こんなことになっていたのか!?」と驚いています。
打ち合わせの序盤に「動く試作」を見せてもらったときは、僕自身も初めての体験だったので、とても衝撃でした。感想を求められても「いま感動している時間なんで、もうちょっと待ってもらっていいですか」と。
最初の打ち合わせから2年くらい経って、最終的に出来上がった商品を見ると、現実として受け止められないくらいの気持ちがあります。「自分の作品の変身ベルト」というよりも、連綿と続いてきた仮面ライダーの世界観に、自分が少し混ぜてもらったような、そんな感想を持ちたくなります。
ブラックサンとシャドームーンの変身ポーズは「写し鏡」にしています。
西島さん演じるブラックサンは、重さのある、歴史を体現するような変身にしてもらいたかった。(中村)倫也くんのシャドームーンは、「変身ポーズだけで誰か人を攻撃できるんじゃないか」と思わせるくらい、キレのある変身ポーズにしたいと思っていた。
それを、二人がそれぞれの持ち味、キャラクターで表現していて、撮りながら「すごいな」と思ってましたね。
『仮面ライダーBLACK
SUN』、SFでありながら、今の世の中にある“色々な感情”を集約させた作品になっています。
今みなさんが生きている中で、色々な感情があると思うので、それをこの変身ベルトに全部集約するつもりで、変身していただきたいです。
実際に装着して、変身ポーズを恥ずかしがらずにやって、TikTokなどのSNSに上げてほしいなと思いますね。
仮面ライダー自体が50年の歴史があり、「その中で何ができるのか」をみんなで話し合いながら作品づくりをしてきました。社会問題を取り入れながら、「いま現在、仮面ライダーがいたら、どういう世界観になっているのか」を、僕なりに想像しながら、おもしろいエンターテインメントにしたいと思って作った作品です。
仮面ライダーにあまり馴染みのない方でも、物語としても楽しめると思うので、ぜひ気軽にを見ていただければと。その奥に、仮面ライダーのこれまでの作品や世界が広がっているので、楽しんで見ていただければ、こんなにうれしいことはないです。
(C)石森プロ・東映 (C)「仮面ライダーBLACK SUN」PROJECT