

いま商品が目の前にあります。ひと目見ただけで“ホンモノ”の感じがしますよね。サイズ感は放送当時に発売されていた「DXイクサベルト」とほぼ同じで、自分達が当時撮影に使っていた物とも同じサイズなのですが、塗装がぐっとリアルになっていますし、何よりも収録されている音声ギミックがDXのころから比べて格段に増えていると伺いました。まさに、過去編(1986年)のイクサから、10回ものバージョンアップを経て完成形となった現代編(2008年)のイクサを彷彿とさせます。
ひとつひとつのセリフが長いなあって思いました。セリフが「文章」みたいになっているのは、名護くらいじゃないですかね。撮影していた当時も、台本を開くと名護のセリフだけやたらとボリュームがありましたから(笑)。今回、第1話から最終話、そして劇場版の名護のセリフの数々を新たに収録しました。セリフを喋っていくたびに「ああ、こんなこと名護は言ってたなあ」と、細かな部分まで思い出していくものなんですね。


収録はとてもスムーズに進み、特に苦労することはありませんでした。テレビドラマの撮影では常に「相手」がいる状態でセリフを喋りますから、「これはどんな感情で話しているセリフなんだろう」と、シーンを思い出してニュアンスを考えなければならないところはありましたが、その際は本編の映像を観返して、名護の置かれた状況を確認しながら収録に臨みました。でも、だいたいのセリフは頭の中に“残って”いましたから、ほとんど問題なく言葉が自然に出てきた感じです。
『仮面ライダーキバ』を撮影していた当時、僕は名護が仮面ライダー(イクサ)になることを最初から聞いていたんです。僕なりに「仮面ライダーとは“カッコいい”ものだ」という思いがあったので、変身者である名護も意識的に声を低めに出すようにしていたんです。今回の音声収録でも、当時の名護と同じトーンを意識しました。
名護の代表的なセリフといえば、ファンのみんなも大好きな「ファンガイア! その命、神に返しなさい」(第9話ほか)ですよね。自分でも、名護のセリフで真っ先に思いだすのはこれなんです。
また「魑魅魍魎跋扈するこの地獄変、名護啓介はここにいる。イクサ、爆現!」(第40話)も強烈に覚えています。日常で「魑魅魍魎」なんて言葉は使いませんからね(笑)。
当時、セリフを練習しまくったことで印象に残っているのは、名護が渡や健吾たちと合コンに行ったとき(第21話)に、ウエイトレスの深央が覚えられなかった注文を繰り返したセリフ「タンシオカルビハラミ特上骨つきカルビレバ刺しセンマイ刺し特上ハツ、ビビンバクッパわかめサラダ激辛キムチ、サンチュでサンキューや!」ですね。
放送時にファンの方たちから反響があったセリフは、第28話で名護が過去に飛ばされたとき、クイーンの真夜とのやりとりの後で言った「お前、ファンガイアだったのか……さようなら、俺の初恋……。」でした。
名護らしい“正義の暴走”が伺えるセリフだと、第13話で警察に捕まったときの「離せ!俺を知らないのか!離せ!離せ!俺は名護だぞ! 離せ!!」なんて、インパクトありましたね。同じエピソードで「俺は負けてない。負けたのはイクサだ!」と叫んでいるのも、いかにも名護らしい(笑)。
あとは、イクサを奪った健吾に恨みを抱いて、イクサナックルに画鋲を仕込んだときのセリフ「これでヤツが変身するとき……画鋲が……。襟立健吾、お前の苦悶にゆがんだ顔が目に浮かぶようだ……」(第37話)とか面白いですよね。このころになると、名護が毎回何をやらかすかが楽しみでした。台本を読んで名護の出番が少ないと、「今回は普通だな」なんて、物足りなく思っていましたから(笑)。

そうでしたね。名護としてこのイクサライザーを持ったことはありませんでした。僕はもともと「青」が好きな色でしたから、ブルーのボディカラーを持つライジングイクサはとてもカッコよくて、気に入っています。イクサライザーがライジンクイクサの「口」から出てくるのには驚きましたけどね(笑)。

“真剣なドヤ顔”で変身するのが大事です。ヒーローへの変身は、笑って行うものではないですからね。名護自身も、楽しくて変身しているわけではありません。ファンガイアを前にして、真剣な表情でイクサナックルを構えることが何より大切なんです。あとは、ナックルをベルトに装填するとき、”手元を見ない”こと。撮影当時、僕も常に前を向いたままナックルを装填していましたが、意外と一発で入ることが多かったんです。たとえ入らなくても、とにかくドヤ顔を忘れずに! そして変身ポーズの動画をたくさん撮ってください。

放送からもう12年という歳月が過ぎてなお、『仮面ライダーキバ』という作品を愛してくださる方がいてくださって、本当にありがたいです。作品やキャラクターたちが、ファンのみなさんの心の中に根強く生き続けているということが、とても嬉しい。今回の「CSMイクサベルト&イクサライザー」は、ヒーローへの“憧れ”を持つ人たちが、ヒーローに近づくために最適なアイテムだと思います。僕が商品を手に入れたなら、インテリアとしてぜひガラスのショーケースに入れて飾りたいですね。せっかくイクサの商品が発売されるのですから、たくさん売れてほしいと願っています。もしも機会があれば僕がサインを入れますので、どうぞよろしくお願いします。最後に名護啓介として「この商品、絶対に買いなさい!」というメッセージを残しておきます(笑)。
© 石森プロ・東映