放送当時に発売されていた「DXイクサベルト」よりもディテールが細かくなっていて、さすがは「大人」向けですね! 当時の撮影で使っていた小道具も、DXベルトサイズをベースに細かい塗装でディテールアップしたものがありましたから、こんどのCSMはより“ホンモノ度”が高くて、これをたくさんのユーザーさんたちに届けられるのかと思うと、心が躍ります。音也が変身したイクサ(セーブモード)は、全身白で騎士のような出で立ち。とてもカッコよくて、イクサナックル、イクサベルトのデザインも気に入っています。
聴きました! 収録ブースにたくさん素材を準備して頂いたので、細かいイントネーションを再現するときはとても参考になりました。でも、当時のセリフをそのまま忠実に喋るというのは、難しいですね〜!昔と印象がまったく同じになったほうがいいのかもしれませんが、商品を手にされたお客さんが音也のセリフを再生して聴いてみたとき、「あれ? ヘタだな」って思われないよう、多少は整えさせて頂いています。今回は映像がなくて音声のみですから、当時とまったく同じ喋り方にこだわりすぎると、表現的に“薄く”なる恐れもありました。だから当時のセリフを緻密に再現したというより、場合によってはやや誇張気味に、大きく分かりやすい感情表現で、抑揚を強調することを意識しました。
当時からよく覚えているセリフとしては「2時間じゃ足りないな、3時間、いや、深夜までだ。夜のレッスンのほうが楽しいからな」(第2話)です。朝の番組だぞ、こんなこと言わすか?ってやつですよ(笑)。「人生は短い。けど、夜は長い」(第1話)も印象に残っています。石田(秀範)監督に“歌え”って言われて歌った「オレのぉ〜演奏は1曲10憶ドルだ〜、釣りは〜いらねぇ〜♪」(第3話)とかもいいなあ。序盤からこんな感じでどんどん拾っていくと、キリがありませんね(笑)。
僕がアドリブで入れたセリフでは、電話番号をゆり(演:高橋ユウ)に伝えるシーンでの「下4けたが0108(おとや)、実にわかりやすい」(第5話)ですね。特に「好きにやっていいよ」と言われたわけではなかったんですけど、好きにやりました(笑)。まわりのスタッフさんからも「やれ、やれ」みたいな後押しをいただきましたし、そんな環境を作っていただけたので、わりとやりたい放題でしたね。次狼(演:松田賢二)に向かって「子犬ちゃん」(第14話)と呼んだのもアドリブですし、イクサに初変身したときに「なかなかいい着心地だ」(第13話)と言ったあと「快感」と付け足したのは、スーツアクターを務められた(岡元)次郎さんの芝居を見てとっさに出たフレーズでした。
第25話で真夜(演:加賀美早紀)との“運命的な出逢い”をしたときのセリフ「一度目偶然、二度奇跡、三度目必然、四運命……」というのもアドリブでしたね。ここは歩いているときのセリフだったので、そのストロークを埋めようとして、早口で言っていました。台本にあったセリフに、現場でいろいろと足しまくっていたわけです。スタッフさんはケラケラ笑っていましたし、こんなこと言わないほうがいいなんて思わず、ある意味空気を読まずにアドリブをどんどん入れていました。
過去にやってきた名護啓介(演:加藤慶祐)に向かって「本気で殴り合えば、たぶんお前のほうが強い。だが、お前は俺に勝てない」(第28話)と言ったあと「な〜んでだ?」なんて勝手に付け足してますね。また、真夜に嫉妬したゆりに耳を引っ張られて「痛い! 痛い! はい痛いです。イタイ、逆から読んでも“イタイ”」(第28話)っていうのもアドリブ。当時の台本を読むとすぐわかると思いますけど、「ウソだろ?」って思うくらいセリフを足しています。現場でそのとき思いついたことを、気持ちのまま出していました。
井上敏樹(シナリオライター)さんの書かれたセリフが活き活きしているので、そこに僕がアドリブで言葉を足しやすかったところがありますね。第29話で次狼、ラモン、力に“手を貸せ”と言われ「ちょっと待て。バケモノのことはバケモノ同士で解決してくれ」って返すところでは、「ちょちょちょっと待て! ちょっと、ちょっと待ってくださいよ〜」なんて頼りない言い方をその場で思いついて、言い方を変えたこともありました。
「悲しみを飲み込み、大きくなったとき、彼女はそこにいる」(第45話)や「大切なものを守るために、男は戦うんだ」(第46話)とか、音也はいいこともたくさん言ってるんですよ。「これからはほんとうにやりたいことだけをやるんだ。心の声に、耳をすませろ」(第18話)とかもいいですよね。音也って、大人とか子どもとか関係なく均等に接するところが素敵だと思います。唯一、差をつけているのは男よりも女のほうにウエイトを置いているくらい(笑)。「人間はみんな、心に音楽を奏でている。俺はその音楽を守りたい」(第35話)というセリフも、心にグッと刺さりますよね。
雨の降りしきる中で、音也がゆりに別れを告げるシーンで言った「もうすぐ、雨は止む」(第46話)は特に忘れられないセリフです。音也がこれまで生きてきた“嵐”のような時間がもうすぐ終わることや、ゆりが悲しみから解放されること。いろいろな意味があの言葉に込められているんです。生命が尽きようとしている音也が、ゆりや次狼、真夜に最後の言葉を伝える一連のシーンは、石田監督と一緒に一生懸命作り上げた「音也の集大成」として、強く心に残っています。
「現代編」の名護イクサはイクサナックルを“横”に構えますが、「過去編」での音也は“縦”に構えるのが特徴です。第14話ではイクサナックルを手にしながら、仮面ライダー1号/本郷猛を演じた藤岡弘、さんにリスペクトを捧げながら、変身ポーズを取りました。なので、藤岡さんの動きを強く意識していただければ、音也の変身も仮面ライダーらしく、カッコよく決まるはずです。僕は仮面ライダー1号、2号、V3など「昭和」に活躍した仮面ライダーを父と一緒にビデオで楽しんでいましたし、音也自身も1986年=「昭和61年」の時代を生きた男ですから、音也イクサの変身には「昭和」の精神があれば問題ないと思います。
この商品を購入し、遊んでくれたらキミも「千人にひとりの天才」になれるぞ! ……という感じでどうでしょう(笑)。2つの時代にまたがって活躍したイクサだけに、現代編の名護と過去編の音也、2人分のセリフがたっぷりと入っていますので、存分にお楽しみいただきたいですね。コレクションとしても素晴らしい出来栄えですが、ここはやはりベルトを着けていただいて、変身ポーズの動画を撮影するのが一番いいでしょう!
© 石森プロ・東映