
「ティーチっぽさ」全開の造形美。
細かいテクスチャーまでこだわり抜いたクオリティをぜひ楽しんでもらいたい。
KING OF ARTIST
企画開発:三好 章弘
原型師:山下 マナブ
Q.出場されるブランドについて教えてください
- 三好
- 「KING OF ARTIST」は一流の原型師が造る、そのキャラクターの決定版造形を目指すプライズフィギュアシリーズです。ブランドは『ONE PIECE』を皮切りに始まり、山下さんにはその第一弾からずっと支えていただいています。「KING OF ARTIST」の第一弾「ワンピース KING OF ARTIST THE MONKEY.D.LUFFY」では、原作マンガの累計発行部数3億冊突破を記念して米紙「ニューヨーク・タイムズ」にフルカラー全面広告で掲載され話題となった“尾田先生が描かれたルフィ”をフィギュア化していただきました。
Q.山下さんと一緒にタッグを組もうと思った理由を教えてください
- 三好
- 「KING OF ARTIST」はプライズ事業部としてもトップブランドですし、『ONE PIECE』に関しては長年山下さんだけにお願いしています。なので、今回も山下さんと出る以外には考えられませんでした。
Q.参加が決定したときの意気込みを教えてください
- 山下
- 考えてみると最初にご依頼いただいてから、ちょうど10年くらい経つんですよね。年間3体以上は作っているから、もう30体くらい制作してるかもしれません。お話をいただいたときは僕でいいんですか?とも思いつつ、久々に他の原型師さんとも競って切磋琢磨できることがとても楽しみでしたね。
Q.今回造形したキャラクター、シーンを選んだ理由を教えてください
- 三好
- 山下さんの手がけられる造形のテイストや特徴を知っているので、ではそんな山下さんが何を作ったら面白そうか? という考え方でティーチを選びました。イカつい造形に強い山下さんがティーチを作ったら表現として面白くなるし、絶対カッコ良くなるはずだと。いわゆる海賊っぽい、荒々しくて汚らしいけど、それが最高にかっこよく見える。そういう造形をお願いしたいとお伝えしました。
Q.キャラ・シーンが決定した際の感想を教えてください
- 山下
- まずはめちゃめちゃ楽しそうじゃん、というライトな感想でした(笑)。他ブランドでも作ったことがないキャラクターなので。僕の好みなんですけど、もともとああいうゴロっとした重量感のある置物的な存在感のキャラクターが好きなんですよね。

Q.どのような会話を重ねて制作を進めてきたのでしょうか?
- 山下
- 他のブランドでもリリースされているキャラクターではあるので、ポージングが既存作品と重複しないよう、シーンを切り取ったというよりはこちらでデザインしたポーズでいこうと考えました。毎回ではありますが、構成や全体的なバランスの検討にはとくに時間をかけています。
- 三好
- キャラクターをこちらで決定してからは山下さんにお任せしています。頻繁にラリーするというよりも、ある程度固まってきてからお見せいただき、山下さんが気になっている部分、例えばパーツの角度などを一緒に議論して微調整を加えていった形です。ただ、先程もあった「汚らしさにあるカッコ良さ」は外さないようにしよう、と都度話し合っていました。
Q.原型師さんの特性や作家性はどんな点にありますか?
- 三好
- 山下さんの造形は「キャラクターに似せる」以上のレベルにあると思います。肌のちょっとした線にも、山下さんならではのデッサンのような質感や味がある。キャラクターに似せることを前提に、らしさまでがあるのが表現者としてすごいな、と思っています。

Q.現状の仕上がりについて、率直な感想を教えてください
- 山下
- 仕上がりはまだ50%くらいで、ディテールはここから作り込むところです。個人的に一番好きな「キャラクターが見えてくるパート」でもあるので楽しみです。
- 三好
- いよいよメインディッシュという感じなんですかね? でも先ほど見た限り、僕にはもう見えるというか、ティーチの特徴的なバランスを捉えていて「あ、そうそうこれこれ!」って感じがしました。ここからさらに凌駕していくんだろうな、と。
Q.こだわりのポイントを教えてください
- 山下
- 構成もですが、やはり作り込みと「ティーチっぽさ」です。腰に銃を指していたり、マントを2枚羽織っていたり、他にも指輪や爪垢に至るまで、いつも作っているキャラクターよりも情報量が多いので、やるなら盛り盛りで作ろうと心がけました。
- 三好
- 服の素材や質感という要素もたくさんあるので、おそらく山下さんにとって作りがいのあるキャラクターだったんじゃないかなと。原作に描かれていないところを描くのは造形にしかできないことですし、フィギュアを通じてお客様を楽しませることができるのは、そういうところだと思っています。「KING OF ARTIST」ならではの幅広い表現を楽しんでほしいですね。
- 山下
- こうした素材感の差を造形で見せるのは楽しいですし、それができてこそ原型師だと思っています。それとちょっと話は変わりますが、僕も「週刊少年ジャンプ」の大ファンで、ずっとマンガを読んで育ってきました。これはファン心理なのでしょうけど、あのジャンプの独特の紙質……そのテクスチャーも込められたらと思って作ったんです。
Q.負けたくない人や、ライバルはいますか?
- 山下
- どうでしょう、岩倉圭二さんや江頭慎太郎さんなどは知っている方なので、意識はしますね。楽しみでもありますし。
- 三好
- 僕もお二人とはお仕事したこともありますし、クオリティの高さも十分知っているつもりです。でも、やはりプライズ事業部として負けたくない、という気持ちがありますね。
Q.ズバリ、優勝できると思いますか?
- 三好
- (取材用に用意した)手元のメモに「プライズのクオリティを見てください!」って書いちゃってました(笑)。
- 山下
- いいじゃないですか。それでいきましょう!
Q.最後に、皆さんにメッセージをお願いします
- 山下
- 「こんなティーチ、どうですか?」という感じでしょうか。 ポーズ自体は初めて出せるものなので。
- 三好
- それが「これぞティーチ」になると最高ですね。今までにないものを作って、それが象徴になったらいいなと思います。
