フィギュアを見てほっこりとした幸せな気持ちになってほしい。
今までにないハイクオリティな「優しい」フィギュアで優勝を目指す。
THE GRANDLINE SERIES
企画開発:THE GRANDLINE SERIES 三好 章弘
原型師:福家 悠太
Q.出場されるブランドについて教えてください
- 三好
- 「THE GRANDLINE SERIES」は14年間という長期にわたって続いているリアル系コレクションフィギュアのブランドで、『ONE PIECE』における海賊らしさ、海に生きる者たちを全力で落とし込んでいるプライズ(景品)のシリーズです。今回、ONE PIECE 造形王頂上決戦ということで「プレミアムバンダイ」の枠組みで出すこととなり、プライズでは実現できなかった作品として作れることになりました。
Q.今回、福家さんとタッグを組もうと思った理由を教えてください
- 三好
- 福家さんとは非常に付き合いが長くて、前の会社が同じだったんです。これまでも『ONE PIECE』フィギュアの造形を数多く手掛けていただいていて、その仕事ぶりも人となりもわかっています。「ONE PIECE 造形王頂上決戦3」の世界大会では「SUPER MASTER STARS PIECE THE RORONOA ZORO」で優勝した実績もお持ちで、とんでもなくクオリティの高いものを作っていただけるとわかっていたので、ぜひとお願いしました。
Q.参加が決定したときの意気込みを教えてください
- 福家
- オファーのお電話をいただいた時は、ONE PIECE 造形王頂上決戦の開催自体が久しぶりで、期間も空いていたので造形師も新しい世代に交代していくのかな?と思っていました。なので、「また僕がやっていいのかな?」と(笑)。
- 三好
- いやいや、前回のチャンピオンですから!(笑)
Q.今回造形したキャラクター、シーンを選んだ理由を教えてください
- 三好
- 「ガイモンとサーファンクル」はいわゆる格好良いキャラじゃなくて、ポップで愛嬌のあるキャラクターかと思います。キャラクターの持つそうした魅力と、福家さんの確かな造形力をかけ合わせたら、とんでもなくクオリティの高い面白い作品が出来るんじゃないかと思ったんです。僕自身もそんな作品を見たかったですし、お客さんに対しても驚きを与えられるはずだと。
Q.キャラ・シーンが決定した際の感想を教えてください
- 福家
- すごい良いところついてくるな! と思いました。もともと僕はメジャーなキャラよりもマイナーなキャラを作りたがるので、開発担当の方が戸惑うこともあって(笑)。また、バトルシーンのフィギュアを作る際には、自分もキャラと同じように強く戦っているような気持ちにならないといけないんですよね。今回のような幸せな雰囲気のフィギュアを作るというのは、自分も平和な気持ちになれるので嬉しかったです。
Q.こだわりのポイントを教えてください
- 福家
- 最初に「ガイモンが無人島で20年間暮らしてきた様を表現してください」と言われたので 表面のテクスチャでエイジング(経年劣化加工)を表現するように心がけました。原作で語られているエピソードから、ガイモンの入っている宝箱は傷がついていたり錆びているし、足の皮も厚くなっているだろうと。アフロも、きれいなアフロではなくてゴワゴワのアフロだろうと想像しながら、何パターンも制作しました。
- 三好
- 最初はアフロの質感の参考として、ブロッコリーの画像を見てましたよね(笑)。福家さんならマンガ内の表現だけでなく、その奥にある世界観まで再現してくれるはずだと確信していました。
Q.どのような会話を重ねて制作を進めてきたのでしょうか?
- 福家
- 2人が飲んでいるスープの中身も、自家栽培の野菜やガイモンの銃で捕まえやすそうな鳥を使ったスープなんじゃないか、と話し合ったりしましたね。それだけでなく、このフィギュアの元絵となった原作扉絵だけではわからない背景まで想像して制作を進めました。まだ詳しいエピソードが語られていないサーファンクルも、漂着したてだろうから樽のサビを少なくしたり、髪の毛などの身だしなみにも気を使っているであろうことを表現しています。
Q.原型師さんの特性や作家性はどんな点にありますか?
- 三好
- 福家さんはクオリティの高い造形を作るのはもちろんのこと、そのさらにワンランク上、作品の世界観やキャラの背景を造形に落とし込む力が高いんです。先ほど言ったサーファンクルの細やかなキューティクルやガイモンの最高の笑顔など、2人のキャラクターのギャップが造形の力で再現されています。福家さん自身で作品の世界を突き詰めてくれる力が造形として表現されていて、見ていて圧倒されます。
Q.現状の仕上がりについて、率直な感想を教えてください
- 福家
- 造形のテクスチャなどに情報をたくさん詰め込んでいますが、一番のメインで表現したかったのは2人の扉絵を見た時に感じられる“幸せな雰囲気”でした。今回の作品で、その雰囲気は作れたと思っています。
- 三好
- あがってきた原型を見た時に、久々にすごいものを見て思わずニヤニヤ笑ってしまうほどの出来でした。まさに、ひと目見て幸せな気持ちになれました。
Q.今回の頂上決戦で特に負けたくない人や、ライバルはいますか?
- 福家
- 山下マナブさんです。山下さんは以前務めていた会社の先輩で、勉強させていただいたことも多く、その技は今も自分の中で生きています。僕にとっては常に自分の先で頑張っている人なんです。ただ、「第3回 ONE PIECE 造形王頂上決戦」ではトーナメント戦でぶつかって、そこで一回負けていて……。リスペクトする先輩ですが、その時に悔しい思いをしたので今度は勝ちたいです!
Q.ズバリ、優勝できると思いますか?
- 福家
- 今回、リアル部門はスタチューや可動フィギュアもある異種格闘技戦のようで、お客さんがどのように評価するかは蓋を開けるまでわかりませんね。
- 三好
- それでももちろんクオリティでは他の作品には負けませんし、お客さんにこの作品に込められた“優しさ”を評価していただければ、優勝できると思います!
Q.最後にメッセージをお願いします。
- 三好
- 「ONE PIECE 造形王頂上決戦」の作品として、そして一つの商品としてお客さんが喜んでもらえるものになっています。ハイクオリティな造形を見てほっこりとした気持ちになれるのは初めてかもしれませんので、ぜひそのクオリティを見てください!
- 福家
- 先ほども言ったように、まずはひと目見てあの扉絵を見た時の幸せな雰囲気を感じていただきたいです。その先として、造形に詰め込んだたくさんの情報から、背景にあるストーリー性などを想像してもらえると嬉しいですね。