既成概念にとらわれない近未来的な造形美



デザインを支える細やかな気遣い
横荷重へのサポート性と、前後運動に対するフレキシブルな柔軟性を兼ね備えたミッドカット仕様の本作。近年注目されているラグジュアリーストリートな雰囲気の中に近未来的なデザインを落とし込むことで、まさにワン&オンリーな仕上がりに。
また、圧倒的な存在感が目を引くソールも見どころの一つだろう。まずガジェット感満載のミッドソールにはHENSHINのロゴをあしらいアッパー部に負けない主張を。アウトソールには、ファイズの足跡をかたどり、見えないところのお洒落にもしっかりと気を使っている。

スニーカーの印象を大きく左右する要素として、シュータンやインナーソールの存在がある。ニット素材を使用することでデザインにアクセントを与え、スニーカーに表情を吹き込むだけでなく、そこに凹凸感を加えファイズの首のラインを表現。中央のリフレクターには、主人公である「乾巧」の信念とも言える「人々の夢を守る」というメッセージを書き示し、造り手たちの繊細な拘りと想いを代弁しているのが見て伺える。
そしてその想いは着用時には目にすることのないシュータンの裏にも。一見、配色の合う黄色のメッシュがあしらわれていると思い見過ごしがちだが、実は、仮面ライダーを象徴するパーツである、ファイズの大きな「目」がそこには表現されているのだ。

最後にインナーソールに刮目してみると、日本を象徴する藍色にも見て取れる色彩が散りばめられているのが分かる。ここでは、自らがオルフェノクであるかもしれないという主人公が抱える不安、またその犠牲の上に立ち戦う覚悟を決めたその姿勢を「灰」のデザインで表現したという。

「Type FAIZ」に込められたこれらの拘りの連続が、このスニーカーを手にした人々がいつの日か心の奥底にしまい込んでしまったであろう「HENSHIN」願望を呼び起こし、本当の自分と向き合う手助けを、ちょっとだけしてくれるような気がする。
ある人にとってはたかがスニーカーかもしれない。でもある人にとってはされどスニーカーの可能性もある。そんな一足が持つ力に期待しながら、今後も続くオリジナルスニーカーシリーズから感じるポジティブな予感に思いを馳せる。




