『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー』からブライダン特攻隊長ファイヤキャンドルとテクニカル隊長ブーケがそろってフィギュア化! 人気漫画家・高河ゆん先生の描き下ろしイラストをベースに、造形、彩色とこだわり抜いて、目指すはフィギュアナンバー1。ありきたりじゃない奇跡のマリアージュはいかにして誕生したのか? ファイヤキャンドル役である三本木大輔さん自らプレミアムバンダイスーパー戦隊応援隊長として、企画担当であるバンダイ木村氏に直撃インタビュー!
三本木:なぜブライダンのふたりをフィギュア化してようと思ってくれたんですか? 我々ゴジュウジャーの敵なんですけど(笑)。
木村:スーパー戦隊のおもちゃである「アクションヒーロー」の企画担当で、『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー』の商品を開発していたのですが、やはり1話を観てブライダンがすごく魅力的だなと思ったんです。
三本木:ありがとうございます!
木村:ブーケのすごくかわいい演技、その演出も相まって、何かしら商品化したいとずっと考えていました。ただ、どんなアプローチが一番いいんだろう、と。あれこれ悩んでいましたが、私はフィギュア屋なので、やはりキャラクターがちゃんと表現できる無可動のフィギュアを作ろうと思いました。
▲開発担当の木村氏に身振り手振りでインタビュー。自らのフィギュアだけにいつも以上に“熱”をもって開発秘話に迫ります。
三本木:本当にありがたい。ずっと作品を追っていただいているんですか?
木村:番組担当なので、それこそ台本の段階から。
三本木:僕より全然先に内容を知ってたってことですか?
木村:もう玩具をどうするか考えたり、提案させていただいておりました。
三本木:逆らえねー(笑)!
木村:いやいや(笑)。ミニプラでキングキャンデラーをやりたいとの話もあったので、わざわざ同じラインにいくのもアレなので、別のところでお客さんにキャラクターを届けるには何がいいかとなり、ここにたどり着いています。
三本木:やはり敵キャラクターのフィギュア化はめずらしいことなんですか?
木村:そうですね。昔、他の作品で似たようなことをしたこともありますが、スーパー戦隊シリーズとしては近年、例がありません。
三本木:嬉しいです。でもブーケはわかるんですよ、かわいいから。でも「ファイヤキャンドル?」って……。
木村:(笑)。ここはおふたりだなと思いました。基本的には作品の人気が出て、物語の中盤くらいから企画が動きだすものですが、序盤から走り出していましたからね。
三本木:敵キャラクターなんて、普通は作品が終わってからですよね。
木村:でも、社内には、最初から「いけます!」と。
三本木:キャラクターを高河ゆん先生にイラスト化してもらう、いわゆるワンクッション挟んだ理由は何かあったのでしょうか?
木村:やはりリアルな人間の顔をフィギュアで再現するのは難しいんですよね。特に目の表現などは実写表現の難しさがあって。別作品のフィギュア商品化のときと同じ手法を選んでいて、イラストレーターさんにイラスト化してもらうことで、キャラクターのかっこよさ、かわいらしさを表現しました。
三本木:ポーズはリクエストして?
木村:ポーズも高河ゆん先生に考えてもらいました。先生はシーンを描ける方なので、ポーズからもキャラクターを感じられるようなところをお願いしました。
三本木:たしかに僕、こんな立ち方してますからね。
木村:高河先生も作品を観ていただいていて、ポーズ案も3案くらい届きました(笑)。
三本木:そんなに!?
木村:どれにしようと相談して、やはりゴジュウジャーなんで“ナンバー1”を目指そうというと、このポーズに決まりました。
三本木:本当だ! ナンバー1ポーズしてる! 気づかなかった(笑)。いいですね!
▲ナンバー1ポーズに気づいた三本木さん。フィギュアナンバー1を目指す意思の表れ。
三本木:高河ゆん先生を選んだ決め手は何かあったんですか?
木村:誰にお願いするかはめちゃくちゃ悩んでいたなかで、高河先生は男性、女性、どちらも魅力的に描かれるだけに、いいフィギュアになりそうな気がして。このあたりが決め手となりました。
▲ファイヤキャンドルを高河ゆん先生がイラスト化。三本木さんの横顔とフィギュアを比べて見る楽しみも。
木村:それでいうと、最初にいただいたイラストは表情がかっこよすぎて。そのあとに高河先生から「こんな表情はどうですか?」と提案いただいたのが今の表情で、三本木さんにも見てもらいましたよね。
三本木:「絶対にこっちがいい!」って思いました(笑)。僕が演じていることが反映されている表情だったんですよ。それがすごく嬉しくて。ただ、この表情を立体で再現するのはかなり難しいとおっしゃっていましたよね?
木村:そうなんです。二次元の絵ならではの表現だったので、どうしようと。でも頑張らないと、と(笑)。
三本木:僕の顔…というか、ファイヤキャンドルの目、表情としてもかなり細かい表現ですよね。
木村:構図的には斜めからの視線になっていて、立体の上にこの表情を貼ると正面から見ると、ちょっと歪むんですよ。焦点を合わせたり、調整がかなり大変でした。
▲瞳はタンポ印刷で再現。どの角度から見ても、立体として成立するように細かな調整が行われている。三本木さんも現状をチェック!
三本木:フィギュアではどうやって目を再現されているんですか?
木村:ハンコみたいにスタンプするタンポ印刷という技術ですね。この工程がまた大変で。黒を置いて、次は赤を置いてみたいな色に分けてスタンプしていきます。
三本木:最初は「うまくいかないかもしれません…」みたいなお話をしてましよね。ありがとうございます。顔は大事です。ブーケはもうかわいいですよね。
木村:“似てる”と“かわいい”のバランスが非常に難しいところもあって。そこは造形のプロにお願いしたところですね。
三本木:木村さん的に絶対にここは抑えてほしい、ここだけは外せないみたいなオーダーはされたんですか?
木村:ポーズと雰囲気ですね。イラストの再現性、ポーズを含めてお願いしたところです。
三本木:先生のイラストをいかに立体化するか…みたいなこともあったんですか? 木村:平面をそのまま立体化すればいいというわけではなくて。それこそ歪みもあるので、そこをうまく調整しながら、バランスよくですね。
三本木:造形的に苦労されたところはありますか?
木村:ファイヤキャンドルのコートですね。模様含めてデザインがけっこう複雑なので、面的にもどことどこが繋がってるのか判別が難しくて。それこそベルトとか、どこが繋がってるのか、わからなくて。
三本木:僕もわらかないですから(笑)。そういえば、最初の方の監修で「コートのパサーッとした感じをもっと表現できますか?」みたいなことを僕が無責任に言いましたよね。
木村:はい(笑)。それこそコートをパサーッとさせて振り返るファイヤキャンドルを映像をコマ送りで観ながら研究しました。
三本木:僕は監修で色味も含めて、いろいろ言ってしましたよね。写真に〇つけたりして、めちゃくちゃたくさんチェックを送ったり。
三本木:ご指摘いただいた部分、オレンジの色味や髪の毛の造形など反映させていただいて、すごくよくなったと思います。
▲ファイヤキャンドルは三本木さん自ら全面監修。オレンジ色の発色は三本木さんこだわりのひとつ。
三本木:僕もブーケ役のまるぴもキャラクターに愛情をもって演じていますから。立体化してもらえるのが嬉しいからこそ妥協できない部分もあって。
木村:それを“愛”と呼びたいです。
三本木:まるぴは監修のとき、何か言ってましたか?
木村:「うわー、かわいい!」からの「早く出してほしい」と(笑)。
三本木:うわー、言いそう(笑)。僕も早く欲しい!ブーケ嬢は造形的に苦労された箇所などありますか?
木村:スカートの裾などの花束部分が大変でした。どうやって造形しようか、原型師といろいろと悩んでいて。よくよく考えてみたら、過去にウェディングドレスのフィギュアを開発したことがあって、そのとき手にしていたブーケを参考にアレンジしました。
三本木:すごく“華”がありますよね。
木村:あとは地味にレース箇所が複雑なんですよ。それをどこまで再現できるか、追求しましたね。
三本木:あー、ここね(笑)。絶対領域的な箇所! すごくかわいらしいです。
▲ふたりでブーケの“絶対領域”の造形を確認中。
木村:コスチュームは細かいディテールが多くて、その再現に関しては本当に今の3Dモデルと3Dプリンターの技術があってこそですね。一昔前は手で掘るのが基本で。まぁ、手原型のよさもあるんですけど。
三本木:具体的にはどのあたりですか?
木村:パーツごとにこの花びらを大きく…みたいな調整はデジタルの強みです。「ここを何%大きくして」みたいなのは手原型だと作り直しですから。CGならすぐ対応できます。
三本木:僕らはこのフィギュアと同じコスチュームで、お芝居させてもらっているんですよね。
木村:実はブーケのコスチュームは、髪の毛で隠れていて、映像ではわらかない部分があって。実際のコスチュームを撮影させてもらって、リボンの繫がりなどを検証させてもらいました。
三本木:研究の成果がすべてフィギュアに現れているんですね。
木村:通常の立体化では、なかなかここまでしないですよね。
三本木:皆さんにお届けする完成バージョンは、今よりさらによくなるんですよね。
木村:はい。皆様に商品をお届けするまで、何とかするのが我々の使命なので、頑張ります! 開発的には原型と彩色見本ができて、まだ第一章なんですよ。ここから量産までの第2章、第3章で、さらによくなる予定です。
▲現状の試作品。ここから生産のために、さらなるブラッシュアップ予定。三本木さんはこれを持ち帰りたかったようですが…。
三本木:サイズ的にはアクションヒーローシリーズとぴったりなんですよね。
木村:ゴジュウウルフとも対決もできると思います。それこそミニプラのキングキャンデラーと並べてもいいですし。
三本木:確かに! ブーケ用にカレンデウスが出ることも期待して(笑)。
木村:カレンデウスはキャンディ事業部にミニプラ化をお願いしてください(笑)。
三本木:ここだけの話、ファイヤキャンドルとブーケ…どっちがコスト掛かってますか?
木村:絶対的にファイヤキャンドルです。
三本木:セットで6000円ですけど、最近のフィギュアで考えたら破格ですよね? どう見積もっても1体3000円とは思えない。SNSとかで「ほしいけど1体6000円か…」みたいなお客さんもいらっしゃいましたけど、セットですから。バグってますね。でも、いっぱい売れないと大丈夫じゃないですよね?
▲ファイヤキャンドル、ブーケの2体セット。
木村:ドキドキしてます。
三本木:頼む! 売れてくれ! 先日、おもちゃショーで展示してもらいましたけど、もっと皆さんに現物を見てほしいですよ。見たら皆さんも絶対に欲しくなるはず!
木村:また別のイベントなどで見てもらえるように試案している最中です。
三本木:でも、ブライダン、僕らの頑張り次第、活躍次第のところもありますよね。実際、活躍した話数のあとに受注が伸びたりとかはあるんですか?
木村:たしかにブーケがメインで活躍する第28話「愛に踊る! これが私のthe・AI」のあとは予約が増えました。
三本木:本当ですか?
木村:いいコンビだなって皆さん思われたんでしょうね。
▲アクションヒーローシリーズと同じくらいのサイズ感なので、一緒に並べて楽しめる。ブーケ嬢とゴジュウレオンのアレも再現できる!?
木村:今後どうなっちゃうのか?
三本木:楽しみしていてください。
木村:おふたりの活躍はまだまだ続きますからね。
三本木:今、撮影も佳境に入っていて、我々的にも「これからどうなるの?」みたいな感じで、いやー、本当に何が起こるかわからない! きっと目が離せなくなります。より多くのファンにこのフィギュアが届くといいですよね。
木村:この記事を観たら、SNSで拡散してもらいたいですね。
三本木:皆さんにこのこだわりを知ってほしいですよね。僕とまるぴもフィギュアが届くのすごく楽しみです!
三本木大輔
■PROFILE
俳優、ATGファクトリー所属。福島県出身、4月27日生まれ。現在放送中の『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー』に ファイヤキャンドル役として出演。その活躍は舞台など多岐に渡る。プレミアムバンダイ スーパー戦隊応援隊長として、独自の視点でプレミアムバンダイや商品の魅力を発信!
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